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『秘密基地』(2/2)



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――何やってるんだろ私達。 何もすることが無いとついついこんなことを考えてしまう。

ペイントが乾くのを待っている間は基本的に動けないのである。 無暗に動けばすぐにペイントが剥がれてしまうのだ。

「ああそうだ そろそろこれを出さなくては」

このタイミングで何かを取り出そうとしている。

一体何を出してくるんだろうなあー(棒)

\デデーン/
「君の分もあるよ~」

「こいつを装着してもらう前に…… まずは"新規レイヤー"(動物柄)を追加します」

「新規…レイヤー?」

「っていうかこの尻尾 "こういうタイプ"なんだ…… こりゃ変態さんですね」

「ちょっとそんなに引くなよw」

とまあこんな感じに自分の姿が見えないままお互いに塗り合いっこしたわけだ。カチューシャとか尻尾とか、アッタチメントもばっちり仕上がった。

今どんな状態になっているのだろうか、かなり雑に塗られたからなあ~ きっと残念な感じなんだろうなあ~(期待値下げ↓)

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あれ?割と似合っているのでは????

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さて記念撮影だ。今日はこのために身体を張ったと言っても過言ではない。実際かなり映えてると思う。しかもツーショットだ!はぁ~幸せ過ぎか~?私?

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「ああ~あっついね…… お外行こっか おしっこもしたいし///」

「さっき全部漏らしました……」

「腰痛ってえ……」

「ええ ちょっと待ってよ」

全然涼しく無くて草。いや、冗談抜きでちゃんと水分補給しないとぶっ倒れるなこりゃあ。

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「そうだ! 狩りごっこしよう」

「Oh…… け○のフレンズ?」

「負けた人は余った黒ペイントを頭から被ってもらいます」

「マ?」

喰われる…

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あいつ足早ぇ……

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あちゃ~やっちまったなあ

いやまじかあ~。まさか私の生涯でこんなシチュエーションに遭遇する日が来てしまうとは思ってなかったなあ。

正直、私もめっちゃ泥んこになって遊びたい! でも結構汚くて躊躇うなあこれ。

ま、どうせ後で身体洗うからいいか。私もズッコケたフリしとこ。

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ようやく視界が確保できたところで自分の状態を把握できた。これはひどい。

そしてこっちも派手にやらかしてるなあ。
――しかしもう1分くらいこの体勢だが、大丈夫だろうか……

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※色々あって全身ドロドロになりました……

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「なんも見えねえしなんも聞こえねえ」

「そろそろ帰ろっか」

「全っ然絵具落ちないよ~」

「ボディーソープ持ってきてるから後で使いな」

「すっぴん見られてるみたいで逆に恥ずかしいよねこれ」

「それな」

「それじゃあ余ったペイント浴びよっか」

「いやいや冗談きついって さっき身体洗ってきれいにしたばっかりじゃん ――え……マ?」

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※色々あって全身真っ黒になりました……

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「今日は――楽しかったよ もしよかったらまた2人でここに来たいなあなんて」

「あ……うん そうだね」

「ねえねえ 今日何回イッた?」

「やかましいわ」

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月日が経つのも早いもので、気づけば季節が変わってしまっていた。

実はあれからもうあの秘密基地には一度も訪れていない。あの子が遠くに引っ越してしまったのだ。本当に急な話だった。

折角友達が出来たと思った矢先の知らせで落ち込むこともあったが、何だかんだ学校では以前よりうまくやっていけてると思う。

結果オーライだ。

「あと300kmかあ」

今でもあの日のことを思い返すことが多い。どうしてもあの時の非日常的な体験が忘れられないのだ。

――それと話は変わるが……私は今、旅に出向いている。

さあ、向こうであいつが待っている。


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